Graph API v2.1にともなう規約変更で「いいね」必須以外に何が規約違反となったのか


前回書いた、今年 11 月 5 日以降「いいね」必須キャンペーンが Facebook Platform Policies 違反となる件は、週が明けてメディアが記事にしたりして大きく取り上げられることとなった。この結果、「いいね」必須キャンペーンを売りにしている業界では色々と動きが出ていたりするが、今回の件は「『いいね』必須の枠組みが規約違反」だけではないことに目を向けられていない流れがあるように感じている。

例えば、アライドアーキテクツの IR では、

このたびFacebook社より発表されたFacebookのプラットフォームポリシーの改訂において、ユーザーに何らかのインセンティブ(報酬)を提供した上での「ソーシャルプラグイン(※企業のサイトなどにFacebookの「いいね!」ボタン等を設置できるようにFacebook社が提供している機能)の利用」や「Facebookページへの『いいね!』を奨励すること」を、平成26年11月5日(米国時間)より禁止する旨の記載が追加されました。

とある。これはFacebook 側が公開している変更点

You must not incentivize people to use social plugins or to like a Page. This includes offering rewards, or gating apps or app content based on whether or not a person has liked a Page. It remains acceptable to incentivize people to login to your app, checkin at a place or enter a promotion on your app’s Page.

と書かれているのを受けての記述だと思うが、こういう場合は Facebook Platform Policy 本体を確認すべきだろう。もちろん、確認対象が日本語版ではなく英語版なのは言うまでもない。

Facebook Platform Policy によると該当項目は 4.5 で、

Only incentivize a person to log into your app, like your app’s Page, enter a promotion on your app’s Page, or check-in at a place. Don’t incentivize other actions. Effective November 5th, 2014, you may no longer incentivize people to like your app’s Page.

となっている。ざっくり訳すと、

アプリにログインするまたはアプリの Facebook ページに「いいね」する、アプリの Facebook ページ上のプロモーションに応募する、場所へのチェックインに対してのみインセンティブを与えてよい。ほかのアクションに対してインセンティブを与えてはならない。2014 年 11 月 5 日にこの項目が有効となって以降は、アプリのページに対する「いいね」についてもインセンティブを与えてはならない。

となる。

気をつけないといけない点は、変更点の記述はブラックリスト形式になっているが、Facebook Platform Policy そのものはホワイトリストになっている点である。つまり、実際は禁止事項が明記されるのではなく、Facebook が許容する項目が明記されたということに留意する必要があることになる。

さらに「incentivize」が何かを意味するサンプルが添付されていて、それが以下となる。

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これを素直に訳すと、

  • × リンクをシェアすると動画を全て閲覧可能。
  • × 友達 10 人にこのアプリを使うように勧めて、50 メッセージポイントを手に入れよう!
  • ○ 友達 10 人にこのアプリを使うように勧めて、アプリを使い始めた友達全員と一緒に 50 メッセージポイントを手に入れよう!

となる。さらに、Facebook Developer Blog – Graph API v2.1 and updated iOS and Android SDKs
のコメント欄に、Facebook のプロダクトマネージャが以下のコメントを書いている。

Hey Robert, you may still incentivize people to login to your app, and you may reward someone when their friends logs into your app as the result of an invite they sent. You may not incentivize people to send the invites in the first place. See the example in Policy 4.5 here: https://developers.facebook.com/policy

つまり、アクションそのものに対してインセンティブを与えるのではなく、アクションの結果に対してインセンティブを与えるのは規約違反とはならない可能性があることになる。

前置きが長くなってしまったが、これを念頭に置くと上記 IR の記述は抜けがあることが分かる。この IR に基づいた理解だと、例えば Graph API を経由したシェアに対してポイントを付与するといった枠組みは「企業のサイトなどにFacebookの『いいね!』ボタン等を設置できるようにFacebook社が提供している機能」ではないから規約違反ではないという捉え方をしかねないが、実際はホワイトリスト形式なので規約違反となる。

再掲になるが、Facebook Platform Policy を素直に読む限り、2014 年 11 月 5 日以降、以下の事項に対してのみ、ユーザにインセンティブを与えてよいというとなる。

  • アプリへのログイン
  • アプリの Facebook ページ上のプロモーションへの応募
  • 場所へのチェックイン
  • 招待を受け取った友達が実際にログインしてきた場合

また、以下の例は明確に禁止となる。

  • 「いいね」またはシェアすることでのリワードの付与。サイト上での機能追加、ポイント付与、景品付与も含む。
  • 「いいね」しないと先に進めない機能。いわゆる「ファンゲート」または “like-gating” で、「いいね」しないと抽選対象とならないといった制限も含む。
  • 「シェアすることで当選確率 2 倍」といった見せ方。
  • 「いいね」またはシェアしないと機能がアンロックされないといった実装。
  • 友達を招待した時点でのリワード付与。

こうやってみると、「いいね」必須が禁止以外にも影響範囲が大きいことが分かる。v2.0 で導入されたインパクトも大きかったが、あくまでも影響が大きかったのは私の会社のような Facebook をベースにしたサービスを提供している会社のみだった。今回の v2.1 にともなう変更については、それ以外の会社におけるマーケティング担当者レベルにもインパクトが大きいものとなる。

最後に、Facebook Platform Policy を読むときは必ず英語版を当たるべきだといういい例が今回の変更でもあった。該当項目の日本語訳はこちら。

アプリへのログイン、アプリのFacebookページに対する[いいね!]、アプリのFacebookページへのプロモーション入力、スポットへのチェックインといった操作のみを利用者に促します。その他の操作を促さないようにします。

全くパンチ力のないものに成り下がっている。このガッカリ感は、個人的にはスターウォーズ EP.3 を映画館で観たときに「the first Galactic Empire」の字幕が「第一次銀河帝国」になっていたとき以来で、この日本語訳をみるとこの項目の重大性が分かりづらいなと思う次第である。