年末年始なのでエレキット TU-8800 を作った (3) – 完成までと感想


前回のポストでイーケイジャパンがリリースしたシングル真空管アンプ TU-8800 の基板への部品の実装まで書いたので、今回で完成までと組み立ての感想を書いておきたい。

組み立て

基板の確認

前回までで基板への部品の実装が終わったので、説明書の基板完成図のコピーを使って正しく実装できているかをチェックする。

自分の場合、確認したのは以下。

  • 部品がそもそも実装されているか。されていれば正しい場所か
  • 実装がある程度揃っているか。
  • 電解コンデンサの極性が正しいかTU-8800 の場合、常にマイナスがボリューム側になるよう設計されているので確認は楽ではある。

特に抵抗については、確認を容易にできるよう、また見た目の観点からも実装の向きにしておくと良い。
タクマン電子の REX / REY は実装の向きがあるらしく、信号の流れる方向の下流側がカラーコード右側、つまり精度になるようにすべきらしいが、今回は気にしないようにした。

カップリングコンデンサに青で矢印がついているのは信号の方向で、後ほどオイルコンデンサに交換するときのためにあらかじめ調べたものになる。

なお、自分の場合だと、確認しながら実装したこともあってこの時点で問題は見つからなかった。

基板の洗浄

基板の確認が終わったら、もう一度フラックスクリーナーで基板を洗浄する。実装前の洗浄はざっくりと洗う程度だったが、今回は使い古しの歯ブラシも使ってしっかりと洗浄する。

真空管アンプは場所によって高圧になることもあって、ハンダくずでショートしたりすると基板が焦げることもある。そのリスクを減らす上でも、この洗浄はきっちりやっておいた方がいいと思う。

自分の場合はフラックスクリーナーと無水アルコールを併用して、ハンダくずを洗い流すように洗浄した

筐体への組み込み

基板の洗浄が完了したら筐体に組み込んでいく。ここまで来ると説明書通りに進めていくといい。

USB-DAC PS-3249R は UNIT-1 の組み込みと同時に筐体に組み込む。ネジは TU-8800 付属のバインドネジ M3 x 6 に余裕があるのでこれを使えば良かった

DAC とアンプの接続は内部接続ではなく、普通の 3.5mm ステレオジャックで接続する。自分の場合は 15cm 長のケーブルで接続した。

こうして確認と洗浄を含め 2 時間ほどで組み込みは完了となる。大体 8 時間もあれば組み立てられると思う。

感想

最後に感想について。
音質については主観も混じるし、自分自身そこまで耳が肥えているわけでもないので、自分としては満足しているとだけ書いておく。TU-8200 で気になった PS-3249R のノイズもヘッドフォンの出力レベルさえ気をつければそこまで気になるレベルではなかった。

組み立て

組み立てについては簡単とまでは言わないが、設計時点でよく考えられていてある程度半田付け経験があればそこまで組み立てに困ることはないと思う。規模感はそれなりにはあるものの、手応えこそあれ難しさはないだろう。

仮に半田付け経験がなくて失敗したとしても、有料ではあるがエレキットドクターに出せばいい感じに修理してもらえるらしい。
子供の頃に MOVIT メカカメの組み立てに失敗したときからあったような気がする (当時は有料で出す発想がなかったが) 便利なサービスなので、万が一があってもそちらにお願いすればいいだろう。

敢えて言えば、MOS FET を固定するタッピングねじは説明書の該当箇所にネジの実寸図があると間違わずに済んだとは思う。
もちろん自分のミスではあるが、無理矢理ねじ込んだこともあって 1 回だけとはいえ左チャンネルの LED が赤表示になってしまったので、MOS FET を修理部品で発注して交換しようと思っている。

機能など

単純にそのままの状態で使うだけではなく、真空管の交換が容易であったり接続方法をスイッチで切り替えられたりと、真空管アンプ noob としても色々遊べるのはいいと思う。

自分の場合、手持ちの出力管は TU-8200 付属の 6L6GC か交換用に買った Gold Lion KT88 くらいしかないのでそこまで球転がしをするわけではないが、そういった用途にも使えるのはいいと思う。

また、個人的にはヘッドフォンの出力レベルをジャンパで選択できるようになったのは相当大きい。自分が使っている TU-8200 + QuietComfort 35 の組み合わせだと能率が高いこともあって USB DAC 由来のノイズが結構気になっている。
出力レベルを選択することでノイズがほとんど気にならなくなった。

残念な点

とはいえ残念な点もある。結構な価格帯なのに

ラベルに修正の痕があるのはいただけない。

また、自分の脱脂が足りなかっただけかも知れないが、高電圧の警告ラベルが剥がれてしまったのは残念ではある。

粘着力はまだ残っているのでプラ素材などには問題なく貼りつくのだが……

MOS FET の交換部品と同時に発注して交換すればいいのだろうか。いずれにしても残念とはいえそこまで大きな問題ではない。


3 回に分けて TU-8800 の組み立てを書いてきたが、20 時間ほど鳴らしてみて非常に満足している。

決して万人向けではないが、台数限定ということもあって、真空管アンプの組み立てに興味があるならぜひ買うといいと思う。