Facebook Marketing API v3.0 がリリースされた件


別記事で書いた Facebook Graph API v3.0 リリースにあわせて、Marketing API も v3.0 がリリースされた。


新機能

入札戦略

広告セットに bid_strategy フィールドが追加された。このフィールドには以下 2 パターンを設定可能。ここでいう「コスト」は広告セットの最適化目標によって変わることに気をつける必要がある。

LOWEST_COST
管理画面上の「最小コスト + 最大入札単価」。最適化目標と広告セットの予算に応じて最良の結果を得られるように入札する。予算消化のために必要であれば自動的により入札を強められる。通常はこちらを選択することになると思われる。
TARGET_COST
管理画面上の「ターゲット単価」。予算を増やしてもコストにブレが出ないように入札する。

コレクション広告

以前の仕様では、API でコレクション広告を作成すると同時に裏側で自動的にキャンバスも生成される仕様だったが、v3.0 では明示的に先にキャンバスを作成し、キャンバスへのパーマリンクを link として指定するクリエイティブを API で生成することでコレクション広告になる、といった仕様に変更となった。

API レベルで見ると確かに手間は増えるが、これにより、タイムラインに表示されたコレクション広告をクリックすると表示されるキャンバスの ID を取得できるようになる。つまり、コレクション広告を押下してキャンバスまでたどり着いたユーザに対し、例えば「キャンバスまでたどり着いたユーザ」「キャンバスで商品をクリックしたユーザ」といった軸でリタゲーティングを行えるようになる

この変更は結構大きい。キャンバス広告は新規獲得目的のフォーマットだが、これまではせっかくここでエンゲージしたユーザをリタゲーティングで追えないという残念な仕様だった。これが例えば次のキャンバス広告やダイナミック広告をぶつけられるようになり、コレクション広告を軸によりストーリー性のある Facebook 広告戦略が立てられると言うことを意味する

その他変更点

デスクトップ右側の広告

デスクトップ右側に表示されていた広告については、今後、流入、コンバージョン、カタログ販売のみ表示対象となる。

オーディエンスルール記述方法の変更

オーディエンスの定義は JSON で記述可能だが、これまでは結構わかりにくい記述方式だった。しかも、複数条件をつける場合、

  • プロダクトオーディエンス以外はイベントごとにリテンションを変更することができなかった
  • 抽出条件と除外条件を 1 つのオーディエンスで指定できず、それぞれ別のオーディエンスとして定義してターゲティング側で指定する必要があった

といった問題があった。

今回の変更でこれがクリアされるほか、複数のイベントソースを指定できるようになる。これにより複数のピクセルからの情報をもとにオーディエンスを作成したり、ピクセルを踏んでかつキャンバスを開いたユーザ、といった複雑な条件をつけられるようになった

一つ気になるのは、オーディエンスルール記述方法は製品セット定義でも使われている。ここの仕様がどうなっているかが個人的には気になっていて、ここも統一されていれば非常に複雑な製品セットの定義が可能になるのはいうまでもない。割と細かく製品セットを分割して運用する場合の鍵なだけに、ここについては今後試してみたい。

カタログ内製品へのアクセス

これまで、カタログがただの製品なのか自動車なのか旅行なのか関係なく、個別アイテムへのアクセスは {catalog_id}/products だった。これが v3.0 以降はカタログの種別に応じて {catalog_id}/autos, {product_feed_id}/hotels, {product_set_id}/flights と使い分ける必要がある。

インサイト計測関連

インサイト取得時にタイムアウトした場合はタイムアウトを返すようになった。また、個別の値が負になっている場合は取得に失敗したということを意味するようになる。

また、最近順次ロールアウトされているキャンペーン予算最適化を利用している場合、adset_budget_value の返す値が変更になる。

廃止になったもの

例によってインサイトの一部や一部パラメータが廃止となったが、特記すべき項目としては以下が挙げられるだろう。

is_autobid, is_average_price_pacing

これまでは自動入札か手動入札かを on / off で選んでいたが、上でも書いたとおり、自動入札でも bid_strategy で入札戦略を選べるようになった。これに伴い、広告セットから is_autobid および is_average_price_pacing が廃止された。

廃止されたパラメータは v3.0 でも読み出し可能ではあるが、早期に bid_strategy に移行した方がいいだろう。

それ以外の変更点など

上記以外の変更点、特に廃止された項目については ChangeLog 参照。


Google もそうだが、Facebook も広告運用の自動化を主眼に実装を進めている。今回、自動入札回りの機能強化が入ったことで、それが鮮明になったと言っていいだろう。

また、コレクション広告については利用が広がってきてはいるものの、その後の刈り取りについては微妙に一貫性が取れていなかった。今回、コレクション広告でエンゲージしたユーザに対して細かく追えるようになったことで、一層の利用が進む可能性がある。